3つのボリュームをゾーニング
水路沿いに細長く繋がる家

3つのボリュームをゾーニング
水路沿いに細長く繋がる家

Polite Design Office
/ ポライトデザインオフィス
敷地の個性を読み解き魅力へと変えていく力量

 恵まれた条件の土地を手にできる人はごくわずか。デメリットをむしろその敷地ならではの魅力へと変換し、豊かな暮らしを創り出すことも建築家の力だ。
 この邸宅は、南北にかけてとても細く長く、手前に見える水路と邸宅の奥にも水路がある挟まれた土地に建っている。決して恵まれた環境とは言えないこの敷地に対して「ポライトデザインオフィス」では、敷地入り口から順番に、パブリック、セミプライベート、プライベートと、奥に向かって閉じていくゾーニングを計画した。
 敷地の形状をなぞるように細長いボリュームが創り出され、分断された各ボリュームを低い屋根で繋げているが、分断することによって生まれる南と北の側面に開口部を設け、それぞれの接点には大小の庭をレイアウト。適度な距離を取りながらも気持ちの良い開口部で内外が繋がる空間に。勾配の大きな三角屋根の形状は、雨や雪を受け止めることなく水路へ受け流せるように設計されており、水路の脇という環境が地の利として有効に活用されている。
 「ポライトデザインオフィス」では、このように特徴的な性格を持つ敷地に対して、“正解”を導き出すために、ひたすらに考え、想像し、施主とのコミュニケーションを図る。そうして紡ぎだされた理想の暮らしの輪郭を、鮮明に浮かび上がらせ建築とすることを大切に、その一連の作法すべてに丁寧に向き合うことが使命だと考える。長い時間をかけて存在する建築物は、社会またはその地域に与える影響も大きく、新しく生み出される建築がその地域に受け入れられることではじめて豊かさを獲得できる、とも。水路沿いに建つこの邸宅は、道行く人をも幸せにする美しい景色を描き続ける。これからも、ずっと。

画像ギャラリー
リビングからダイニング越しの中庭を望む。広く切り取られた高い位置の窓には空が広がり、心地良い陽射しが降り注ぐ。左手上部、換気扇フードの上には小屋裏収納を。キッチンや右手の収納家具は全てオリジナル
オリジナルのキッチンは、壁材と同様の板で造作。たっぷりとした収納を設けているので、キッチンはいつもすっきり。横長に切り取られた窓ごしに、植栽の緑が揺れる
ダイニングチェアに腰を下ろすと、プライバシーを保ちつつ緑を眺めることができる。 キッチンとダイニングを一列に並べ、使いやすくレイアウト
無駄を削ぎ落としたモダンでシンプルな空間に天然木が優しい表情を添える。洗面・バス・トイレの仕切りには圧迫感のない透明ガラスを採用
シンプルで居心地の良い寝室。小上がりの台に布団を敷いて使用。階上には子ども部屋があるので成長度合い等によって柔軟に対応できるように工夫されている
プライベートゾーンにある階段は、ホールと階上の子ども部屋を繋ぐ。スケルトンデザインですっきりと
建物を上空から望む。土地の形状に沿って細長い建物が3つのゾーンに分断されていることがわかる。太陽光パネルを搭載しているが、屋根材としての性能を併せ持つパネルを採用することで違和感なく建築に馴染んでいる

HOUSE/O #3 群馬県高崎市
設計 Polite Design Office
(ポライトデザインオフィス)
敷地面積 321.96㎡
1階 129.47 ㎡
2階 51.73 ㎡
家族構成 4人家族(父,母,子2人)
構造 木造在来 地上2階建
構造設計 ポライトデザインオフィス
設計期間 2020年4月〜2020年12月
工事期間 2021年1月〜2021年9月
大橋 洋介 / Yosuke Ohashi

2001年 東京都内建築設計事務所勤務(〜2004年)、2005年 群馬県内建築設計事務所勤務(〜2007年)、2009年 「Polite Design Office」設立。2022年 日本空間デザイン賞、2023年 グッドデザイン賞、等

INFORMATION
Polite Design Office
ポライトデザインオフィス
住所 高崎市下之城町4-11
TEL 027-333-2141
https://polite-do.jp

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