様々な+αで空間に
リズムとメリハリを
木の雰囲気のある
スキップフロアの家
株式会社関工務所
視線の動きも計算し、
「個」と「集い」を共存させる設計
約500平米の敷地に平屋あるいは“平屋プラスα”の家を建てたい…という施主様の要望に対し、「関工務所」が出した答えは後者。平屋を基本に勾配天井を備えた上階を設け、スキップフロアと2階に1室をプラス。天井の一番高い部分が5.4メートルという高さを備えたダイナミックな邸宅に。
水平ラインの美しさが際立つ外壁にはセメントの質感が映える「ソリド」と石や砂などの骨材に樹脂やセメント類を混ぜた「リシン」吹付けが施されている。これも「関工務所」の提案によるプラスαのひとつだ。床材の楢、そして壁や天井に配したオークといった無垢材が絶妙なバランスで配されたLDKは、柱や壁といった視線を遮るものを極力減らした大空間だが、現しの梁や質感の異なる素材と色使いで、空間にメリハリを。そしてもう一つ。この空間に立体的なリズムを生んでいるのが1階リビングと2階の子供部屋をつなぐスキップフロアだ。
スキップフロアには机や本を置けるニッチを造作し、読書や勉強のためのスタディコーナーに。スキップフロアはオープンな造りだが、その上の2階の子供部屋はプライバシーを尊重し、離れのように敢えて独立させている点も細かな配慮。キッチンやリビング、ダイニング、そしてこのスキップフロアにいる家族同士が、互いを視界に入れつつも目が合わない様にと、視線までが設計に組み込まれているから驚きだ。ご主人の趣味である楽器演奏のために防音室が確保されているが、これもある意味プラスα。リビングにはごく自然に家族が集うペレットストーブを。部屋数は決して多くない。が、家族それぞれが一人で寛げるプライベートな居場所、家族と寛げるパブリックな居場所が、様々なプラスαによって実現されていることがわかる。
「関工務所」は明治30年創業の老舗工務店で、手掛けた注文住宅は1500棟を超える。日本の伝統技術の継承にも重きを置く同社では、自社専属大工を中心に現場に臨み、それだけに、設計図と仕上がりが乖離するというリスクが極めて少ない。夢や想いを具現化できる大工の技を擁することから、この邸宅のように、素材を見極める目、高度な建築技術が必要不可欠な住宅も得意としている。因みに、プランは一回目でほぼOK。引き渡し後の満足度も非常に高い。
家族のより一層の笑顔が増えたことも、実は、一番嬉しいプラスαに違いない。
グレージュと木の雰囲気のあるスキップフロアの家
群馬県前橋市
設計 | 株式会社関工務所 |
敷地面積 | 495.90 ㎡ |
1階 | 187.56㎡ |
2階 | 23.18㎡ |
家族構成 | 3人家族(父,母,子1人) |
構造 | 木造 |
設計期間 | 2020年6月〜2022年3月 |
工事期間 | 8ヶ月 |
施工 | 株式会社関工務所 |
株式会社関工務所
明治30年、創業初代が大工からスタートし、現社長まで120年以上にわたり地域に根差した家づくりを実践。耐震や断熱性能にこだわった質の高いデザインの注文住宅を設計・施工。施工は自社専属大工を中心に、オーダーメイドな家づくりを実現している