3つのボリュームをゾーニング
水路沿いに細長く繋がる家
Polite Design Office
/ ポライトデザインオフィス
敷地の個性を読み解き魅力へと変えていく力量
恵まれた条件の土地を手にできる人はごくわずか。デメリットをむしろその敷地ならではの魅力へと変換し、豊かな暮らしを創り出すことも建築家の力だ。
この邸宅は、南北にかけてとても細く長く、手前に見える水路と邸宅の奥にも水路がある挟まれた土地に建っている。決して恵まれた環境とは言えないこの敷地に対して「ポライトデザインオフィス」では、敷地入り口から順番に、パブリック、セミプライベート、プライベートと、奥に向かって閉じていくゾーニングを計画した。
敷地の形状をなぞるように細長いボリュームが創り出され、分断された各ボリュームを低い屋根で繋げているが、分断することによって生まれる南と北の側面に開口部を設け、それぞれの接点には大小の庭をレイアウト。適度な距離を取りながらも気持ちの良い開口部で内外が繋がる空間に。勾配の大きな三角屋根の形状は、雨や雪を受け止めることなく水路へ受け流せるように設計されており、水路の脇という環境が地の利として有効に活用されている。
「ポライトデザインオフィス」では、このように特徴的な性格を持つ敷地に対して、“正解”を導き出すために、ひたすらに考え、想像し、施主とのコミュニケーションを図る。そうして紡ぎだされた理想の暮らしの輪郭を、鮮明に浮かび上がらせ建築とすることを大切に、その一連の作法すべてに丁寧に向き合うことが使命だと考える。長い時間をかけて存在する建築物は、社会またはその地域に与える影響も大きく、新しく生み出される建築がその地域に受け入れられることではじめて豊かさを獲得できる、とも。水路沿いに建つこの邸宅は、道行く人をも幸せにする美しい景色を描き続ける。これからも、ずっと。
HOUSE/O #3 群馬県高崎市
設計 | Polite Design Office (ポライトデザインオフィス) |
敷地面積 | 321.96㎡ |
1階 | 129.47 ㎡ |
2階 | 51.73 ㎡ |
家族構成 | 4人家族(父,母,子2人) |
構造 | 木造在来 地上2階建 |
構造設計 | ポライトデザインオフィス |
設計期間 | 2020年4月〜2020年12月 |
工事期間 | 2021年1月〜2021年9月 |
大橋 洋介 / Yosuke Ohashi
2001年 東京都内建築設計事務所勤務(〜2004年)、2005年 群馬県内建築設計事務所勤務(〜2007年)、2009年 「Polite Design Office」設立。2022年 日本空間デザイン賞、2023年 グッドデザイン賞、等
INFORMATION
Polite Design Office
ポライトデザインオフィス
住所 | 群馬県高崎市下之城町4-11 |
TEL | 027-333-2141 |