東京都三角屋根のミニマルな家に
夢と個性を詰め込んだシンプルな住まい

三角屋根のミニマルな家に
夢と個性を詰め込んだシンプルな住まい

株式会社石川淳建築設計事務所
昭和建築を代表する名邸宅のひとつ、
建築家・前川國男氏の自邸の要素をイメージ

 ミニマルでシンプルな三角屋根の家をモチーフにした「OUCHI」、屋根が水平な方形を組み合わせるスタイリッシュでモダンな「ハコノオウチ」。—建築家・石川淳氏が創る家は、シンプルで飽きがこない。
 “レコード棚のある家”と名付けられたこの家は、三角屋根を持つ「OUCHI」タイプで、切妻屋根の勾配は、施主様の意向とエリアの高さ制限をふまえた上で、石川氏のデザイン的直感からが決められている。その角度は、外から眺めても室内から見上げてもまさに絶妙。白い内外装と相まって、何とも美しい。
 メインの写真でご紹介しているのは、リビングルームと階上に設けた主寝室。上下を繋ぐスケルトンの階段と梁が白い空間に効果的なアクセントを添えるこの空間は、昭和の名建築家・前川國男氏の自邸のような階段と吹き抜けを作りたい︱という施主様の希望を取り入れたもの。仕上げは白を基調にしながら、昔の小学校のような懐かしさを誘うパーケットフローリングを用いたり、茶色の着色で棚や玄関ドアを仕上げることで、どこかしら「昭和」を感じさせるテイストに。前川邸の要素を現代的に解釈しつつ、昭和の匂いを取り入れることで、モダンで簡潔でありながら、心地良さと温もりを感じる空間となっている。
 また、ネーミングの由来となるレコード棚がリビングの主役となっていることにも注目したい。音が一番バランス良く聴こえる位置に置かれたソファは、貴重なレコード盤のコレクションが一望できる特等席で、階上の寝室からも音を愉しむことができる。
 いつか実現したいと思い描いてきた夢がある。譲れない拘りがある。そんなかたこそ、ミニマルでシンプルな「OUCHI」で、ご自身だけの個性を自由自在に表現していただきたいものだ。

画像ギャラリー
広い窓際に設けた階段は前川國男邸をモチーフとしたもので、昭和の時代には珍しいデザインだった
白と明るい色調の木を用いたキッチン。高い位置に棚を設けず冷蔵庫の位置にも配慮。リビングからキッチンを眺めた際にも生活感が排除されている
玄関からリビングを望む。広い引き戸とドアがある
前頁でベッドがレイアウトされている2階寝室。明るくシンプルな空間に、階下の音楽が心地良く響く
2階の収納。衣類等は2階の収納に集約されている
道具類は1階レコード盤収納棚の裏に集約
三角屋根と白い壁が印象的な「OUCHI」。家屋全面の前庭は施主様の希望。庭の手前には公道が通っているが、距離を保つことでリビングで寛ぐ際にもプライバシーは確保されている。壁を分厚くくりぬいた様なテラスは軒が深く第2のリビングとしても寛げる

レコード棚のある家
OUCHI-43
東京都
設計 株式会社石川淳建築設計事務所
敷地面積 122.19㎡
1階 44.75㎡
2階 41.20㎡
家族構成 夫婦2人
構造 木造軸組在来工法
設計期間 2018年1月〜2018年7月
工事期間 2017年3月〜2017年11月
施工 慶成建設
撮影 上田宏
石川 淳/ Jun Ishikawa

神奈川県出身。東京理科大学工学部第二部建築学科卒業後、建築家早川邦彦氏に師事。2002年、石川淳建築設計事務所設立。2010年に法人化。東京理科大学工学部二部建築学科非常勤講師も務めた。シンプルで飽きのこないデザインによって、悪条件の敷地や厳しい予算の中でも広がりがある明るく自由な住宅が持ち味だ

INFORMATION
株式会社石川淳建築設計事務所
住所 東京都中野区江原町2-31-13 第一喜光マンション106
TEL 03-3950-0351
https://www.jun-ar.info

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