富山県先人の叡智を現代に変換
北陸で美しく快適に暮せる家

先人の叡智を現代に変換
北陸で美しく快適に暮せる家

濱田修建築研究所
周囲とのつながり、家族のつながりを大切に
優しさと気品を備えた美しい邸宅

 「北陸の気候は、夏暑く冬は寒い、雪も降れば、1年中湿気も多いのです。そんな過酷な条件下の建築には、長い歴史の中で培ったしつらえに倣って、庇や土間、格子戸など中間領域を広く設けることが必要なことだと思います」と語る、建築家・濱田修氏。
 たとえば直射日光を遮る深い庇、夏には涼しい風を運び、冬はコートや靴についた雪をはらう場所となり、外気との緩衝帯にもなる土間、陽射しを和らげ風を通し、半透明であることがゆるやかにつながる空間を演出する格子戸等、日本の住宅は極めて合理的にできている。同氏が主宰する〈濱田修建築研究所〉の手掛ける家は、こうした先人の知恵が活かされている。ただし、そのまま取り入れるのではなく、現代的な形に置き換えて、新しい技術やエネルギーと掛け合わせた機能と美しさを備えて提案されていることも、特筆すべき点だろう。
 P72~P75の邸宅は、平屋に見えて実は2階建て。2階を可能な限り低く抑え、外壁に屋根と同じ素材を使用することで、平屋建てであるかのような印象をもたせ、閑静な住宅地に馴染む外観に。手掛ける邸宅だけの美しさに終始せず、周囲の景観向上に配慮された設計も同社の得意とするところだ。玄関に設けた軒先空間は雪をしのぎ駐車もスムーズで、リビングには空間を広く見せる船底天井を採用する等、適材適所に先人の知恵が活かされている。
 次にP76~P77で紹介する邸宅は、親世帯の住まいに隣接する敷地に建つ子世帯のRC造の住まい。親世帯と共有の広い裏庭とプライベートな坪庭を使い分けるリビングルームとし、庭を共有しながらも、親世帯と子世帯が心地良い距離感を保てる配置が考えられている。各所に曲面の内壁と羽目板型枠のコンクリート打放し壁を取り入れた、やわらかさを帯びたシンプルな空間の美しさにも目を奪われる。
 富山の気候風土、周囲との調和、住まい手の個性、そして未来。広い視点で家づくりを考える方にこそ、おすすめしたい設計事務所である。

画像ギャラリー
杉羽目板を用いた型枠で木目を転写させたコンクリート打放しの塀は、表情豊かで庭木との相性も良く、住宅地にも馴染む。深い庇によって便利な中間領域となっている
縁側や雪見障子、床の間といった和室の要素がモダンに解釈された、前庭へとつながる和室
縁側や雪見障子、床の間といった和室の要素がモダンに解釈された、前庭へとつながる和室
吊材が手摺を兼ねた吊階段と階段下ワークスペース。床がワークスペースの机と繋がる、シンプルで計算されたデザインが光る
深い庇空間が玄関へと誘う正面からの眺め。玄関のプライバシーを保つため、木製ルーバーを設けて出入口の見え方を調整
手前に広がる共有の庭から眺めた子世帯の家
2F多目的ホールから書斎+ベッドルームを見る。壁の曲面がやわらかな印象を添える
キッチンに立つとリビングの先に共有の庭が見渡せる

布瀬本町の家
富山県富山市布瀬本町
施工 濱田修建築研究所
敷地面積 433.348㎡
1階 179.922㎡
2階 43.145㎡
家族構成 4人家族 (父・母・子2人)
構造 木造2階建
構造設計 TEDOK
設計期間 2022年9月〜2023年7月
工事期間 2023年9月〜2024年6月
施工 米井建設株式会社
木津の家
富山県高岡市木津
施工 濱田修建築研究所
敷地面積 213.14㎡
1階 122.41㎡
2階 90.73㎡
家族構成 4人家族 (父・母・子2人)
構造 鉄筋コンクリート造2階建
構造設計 オーノJAPAN
設計期間 2010年9月〜2011年5月
工事期間 2011年5月〜2011年11月
施工 日本海建興株式会社
濱田修建築研究所

モダンテイストから古民家まで美しさと機能性が共存する建築を得意とし、個人住宅の他にも、商業建築、会社社屋といった一般建築をはじめリノベーションも豊富に手掛ける

INFORMATION
濱田修建築研究所
住所 富山県富山市内幸町7-1
ショートケーキビル
TEL 076-441-3133
http://w2322.nsk.ne.jp/~hamada-a.a/

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