心地よい居場所と確かな性能を備えた
遠州の自然と調和する住まい
〈扇建築工房〉が手掛ける家は、単調な日々の生活を繰り返すための物理的な箱ではなく、人生そのものに深く関わる住まいだ。浜松市に工房を開いて20有余年。創業以来、住まい手本位の家づくりを掲げ、従来の工務店像を超えた“住まいづくり”をトータルに。川上の山で育った杉や、漆喰や木製サッシなど、いずれは土に還る素材を駆使し、熟練の技術を継承する自社大工が建てる家は、流行に左右されることなくシンプルに美しく心地良い。
住まいはそこに暮らす家族のものであると同時に「まち」の景観の一部であるという考えのもと、建物と庭のプランニングを同時に行っていくことも特長の一つで、その際には造園家との協業による設計を基本とし、山の木も庭木に用いながら美しい四季を感じる自然と調和する住まいを提案していくことが同社のスタイルだ。
P66からP69でご紹介するのは、隣接する緑地と穏やかに寄り添い、静かに佇む平屋建て。敷地の内側に庭をつくるのではなく、敷地の外側に広がる自然をいかに取り込むか―そのために、周囲の樹々と呼応するように植栽を配置し、風景に馴染む形を整えている。窓越しに広がるのは、桜に包まれる春の陽だまり、新緑の潤い、木陰がもたらす夏の涼。秋には紅葉が織りなす彩りを、冬には暖炉の炎で心まで暖かに。自然の恵みを活かした温熱設計と、現代の暮らしに適した空調計画が、一年を通して、穏やかで心地よい住環境を支えている。
P70は、土地を読みロケーションの魅力が最大限に引き出された施工例。薪ストーブを備えたLDや畳敷きの空間、RCと森の対比がことのほか美しい傾斜地を活かした地下室等、自宅で寛げる場所が沢山ある。地盤面が高めの北側には開放的なLDKを。地盤面の低い南側には落ち着きのある寝室と水まわりを配置するなど、日常に自然を取り込む設計としながら、空間の質にはメリハリをつけている。
P71は、中央・北・南に分かれた3棟の平屋が緑豊かな山間の土地に寄り添うように建っている。仲の良い2世帯のための分棟平屋で、LDKや洗面・脱衣室などの共有スペースのある中央棟には、2世帯の家族が集い、囲炉裏のある南棟の東屋は、外物置や農作業の休憩所として機能するほか、地域の人との交流の場にも。
家族のつながり。友人やまちとのつながり。そして自然とのつながり―。そのつながりの起点となる住まいをあなたと家族の居場所にしてほしい。