手間と愛情を惜しみなく注いだ
写真に残せる庭
有限会社 庭吉
モダニズムと侘び寂びが響き合う庭、
霧島の自然を呼び込んだ庭
まず、写真をご覧いただこう。現代建築の粋を感じさせるモダンな邸宅と、7メートルものイロハモミジが、日本人のDNAに深く刻まれている“侘び寂び”を感じる空間を創り出し、日々の暮らしに季節の移ろいを教えてくれる。
モミジの高さは2階のリビングから眺めて楽しめるように。太目の幹を選ぶことで建物とのバランスを取り、わずかに西側に傾けてある。その根元には一石を。その景色を眺めていると深山にいるかのような心持ちになる。
「モダン建築と侘び寂びのどちらにも共通しているのが簡素美だと思います。この二つの簡素美の調和から、この庭の心地よさは生まれていると思います」と、〈有限会社 庭吉〉の田中祥平氏。京都「宏歸流 京都庭常」での修行を経て起業した創業初代・田中敏氏の時代から、日本古来より伝わる伝統的な庭づくりを基本に、お客様の生活スタイルや建物との調和がとれた庭づくりにひたむきに。写真に残せる庭 - それが先代からのコンセプトだ。そこには、何よりもまず手入れと管理を大切にする姿勢がある。
ご紹介しているのは、霧島市のイタリアンレストラン「MOLINO kirishima」の小さな庭。霧島で自生している樹種をメインに選び、訪れる人が店への道中で目にした自然をそのまま切り取ったように植樹されている。近くの滝からインスピレーションを受け、地元産の材料で組んだ石組も野趣を添え、霧島の自然に包まれるような空間で、ゆっくりとお食事を愉しんでいただける。
ありのままの自然を庭に呼び込むということは、無造作とは対極にある。一つひとつの木や草花、石を丁寧に扱い、それらが望んでいる場所へ。そして愛情を注ぎ管理をすることで、いつまでもその空間を楽しめるように。技術と誠実さがあるからこその、心を動かす庭。建物をより一層引き立て家族と共に時を重ねる庭、写真に残せる・残したくなる庭を、〈美技匠 庭吉〉にどうぞおまかせいただきたい。
Y様邸宅/西田の庭
鹿児島市
設計 | 有限会社 庭吉 |
敷地面積 | 25㎡ |
工事期間 | 2023年8月〜2023年9月 |
施工 | 有限会社 庭吉 |
MOLINO
霧島市
設計 | 有限会社 庭吉 |
敷地面積 | 11㎡ |
工事期間 | 2024年4月 |
施工 | 有限会社 庭吉 |
美技匠 庭吉
1977年創業。二代目代表取締役となる田中祥平氏は、20歳から修業を開始し、生け花の空間芸術を学ぶために「華道蒼仙流」に入門。庭造り、管理を主に、純和風から和モダンまで幅広い提案が可能だ