縁起の良い意匠を室内に。
新感覚の組子細工

　古来、日本美術には「精密模様」による美しさの表現技法があり、精密な幾何学模様が連続で表現される組子細工もその一つ。はるか飛鳥の時代から千年を超える時をかけて、日本の建具装飾として受け継がれてきた伝統技法であり、その精密さは現代アートと通じるものがある。
　ご紹介する〈河島建具〉は創業91年になる伝統ある建具専門店。この組子細工を得意とし、型に捉われない自由な発想で建具の枠を超えた丁度品として捉え、熟練の職人集団が立案から製作・販売までを手掛けてる老舗である。
　釘や金具などを使うことなく、 細い木材を組み合わせて様々な文様を作っていく組子細工の幾何学的な模様には、実は、魔除け、祈願といった願掛けや縁起を祝う意味が込められている。この先達の意匠を宿す建具の技を受け継ぎながら、インテリアとファッションアイテムとして話題を集めているのが、オリジナルブランド縁起組子「縁樹（ＥＮＪＵ）」だ。厄除け・魔除けの意味を持つ「麻の葉」や「角麻」、風水で蓄財の意味を持つ文様の「桜亀甲」、健康を願う「胡麻柄」、良縁を呼び込む「竜胆」等、意匠によって表現される同ブランドは、組子細工ならではの美しさと機能性をあますことなく表現すると同時に、ひとつ一つの作品に、祈願・ご利益を文様に込め、和の心で暮らしに安らぎを与える新感覚の工芸品ブランドとして、和洋様々な空間にしっくりと馴染む。
　河島建具では、この技法を用いたインテリアを開発し、ハイクラスのホテルや洋風建築に採用されるなど多くの実績を持つ。伝統産業に携わる企業の中でも独自の路線を歩んでいる。ＣＡＤによる建具の図面化や材料の見本の提示、実績の写真をお見せしながらの打ち合わせにも対応しているので、新築やリフォームの際に、同社の建具類を是非取り入れてみてはいかがだろう。