空間全てが美しいオブジェに
美術館を思わせる軽井沢の森の別荘
株式会社MAT一級建築士事務所


上質な非日常と暮らしやすさが
両立された美空間
今回ご紹介するのは、軽井沢の自然に包まれて凛と佇む森の中の別荘。高い天井、広く切り取られた窓、二方向に広がる跳ね出し階段、洗練されたインテリア。そこにあるのは圧倒的な非日常だ。
この別荘は、施主様のリクエストに沿って、美術館をコンセプトに設計・施工されている。ただし、隅々までスムーズな生活動線が巡らされ、使い勝手の良い収納が必要な場所に。普段の暮らしから切り離された非凡な空間でありながら、そこにはいつもと変わらぬ快適な時間がある。
邸内は、造作家具や階段に至るまで、一つのオブジェに見立ててデザインされている。リビングルームの大きな窓から横に走る梁をあえて室内側にすることで、外と室内との境界線を感じさせないデザインに。建材も石をイメージしたタイルと木立をイメージした木のパネルとの調和、そして柔らかい草を踏みしめるイメージとして、ドイツ「VORWERK」社のカーペットを敷き詰め上質な空間に。自然素材と、天井に組み込まれたスリムライン照明が描き出す対比も美しい旋律そのものだ。
突起物のない照明によって見た目以上の天井高を感じさせ、東側外部に広がる庭園・池・空が一つの絵画のように見える大きなリビング窓が、四季折々の軽井沢の自然をより身近に引き寄せる。この恵まれた景観は和室からも愉しめる。畳に腰を下ろして見渡す池の景色は洋室からとはまた異なった趣があるのも魅惑的だ。
また、この建物の外構はすべて3Dプリンターで設計・施工されたものであり、幾何学的なデザインが特徴的だ。日本で初めて建設用3Dプリンターを用いて確認済証の交付を受けた建築士が手掛け、最先端技術と洗練されたデザインが融合した空間となっている。3Dプリンターを活用することで、従来の施工方法では難しかった複雑な形状や曲線を実現し、唯一無二の景観を生み出している。
〈株式会社MAT一級建築士事務所〉では、設計から施工までを一貫して請負う事を基本とする業務形態に加え、自社の鉄骨工場を擁し、鉄骨加工から現場取付までの施工はもちろん、土木・左官部は基礎掘削からコンクリート打設・左官工事まで自社で行っている。そのため、高度なデザインがしっかりとした躯体に裏打ちされていること、設計と仕上がりの乖離がないことも大きな強みと言えるだろう。
堅牢な構造躯体、快適性能、そして望むデザインを叶える家。それぞれが響き合い美しいハーモニーを奏でる家を、〈株式会社MAT一級建築士事務所〉がきっと形にしてくれる。
S様邸 長野県軽井沢町
設計 | 株式会社MAT一級建築士事務所 |
敷地面積 | 1745.85㎡ |
1階 | 71.30 ㎡ |
2階 | 71.30 ㎡ |
構造 | RC工 |
デザイン設計 | 有限会社ペール・ブルー |
実施設計 | 株式会社MAT一級建築士事務所 |
設計期間 | 2022年8月〜2022年12月 |
工事期間 | 2023年2月〜2023年7月 |
MAT一級建築士事務所
2015年に設立。“数学的音楽理論を用いた、美しい旋律を奏でる設計力”を土台に、設計から施工までを一貫して請け負うことが基本。自社鉄鋼所を擁し鉄骨加工や基礎工事まで自社にて請け負っている。2022年にはオランダのCyBe社のセメント系3Dプリンターを導入。その他ワークスタジオと共同で、廃棄衣料品の繊維をアップサイクルしたマテリアルを、3Dプリンター建築の断熱材として実験に成功し実用化