奇をてらわない、尖らない
そして唯一無二であること。
ヤマギシスタジオ
スキップフロアでエリアを棲み分け
統一感のあるシンプルで上質な二世帯住宅
玄関は1カ所。スキップフロアの活用によって、母親と子世帯家族のエリアを棲み分けた2世帯住宅。建築設計はお客様と一緒に未来をつくる仕事と捉え、「奇をてらわない、尖らない、しかし唯一無二の建築」を目指し、考えて考えて導き出された、よりシンプルで、より機能的な建築の提案を身上とする、建築家・山岸映司氏だからこその設計力が光る邸宅だ。
0.5階となる玄関ホールを起点に、1階には専用のLDKを設けた母親エリア、1.5階には子世帯のDKと共通の浴室・脱衣室、2階は全て子世帯エリアというスキップフロアを採用しているが、1.5階に設けた浴室はアイデアの賜物。実は敷地の制約や様々な設計条件により、浴室を親世帯の階に設置が不可能となってしまったことから、スキップフロアを採用し、1.5階に共通の浴室・脱衣室をレイアウト。通常の2階建ての約半分の段数で浴室まで到達することができるため、母親が自室エリアから浴室へとアクセスする際にスムーズで、子世帯にとっても、母親エリアで入浴する、という遠慮を感じることなく浴室を使えるメリットもある。
また、邸内全体に、木質材料と白い壁面を配しているが、障子や畳のある母親エリアは和の情緒を。一方子世帯はシンプルでモダンに。統一感を持たせながらも、それぞれのライフスタイルに合わせ、テイストの異なる空間が提案されている。同邸宅のみならず、統一感を持たせた空間構成は氏の得意とするところで、デザインテーマや空間に合わせて家具や建具なども、出来る限り自ら設計し、より一層完成度の高い空間を叶えてくれる。
氏が主宰する〈ヤマギシスタジオ〉は、木造または木造とRC造の混構造を中心に、住宅建築のみならず中大規模木造建築物・別荘建築・旅館建築をはじめ、新しいログハウスの考え方を提案するパネルログ構法による建築物など常に建築の新しい技術と創造力を保持し続け、地元長野はもちろん、関東を中心とする全国からの依頼に対応している。
建築を、人の生活や営みをそっと包み込むような存在と捉える山岸氏なら、施主様や家族の楽しみにしていること、不安なこと、挑戦したいこと、といった想いをしっかりとくみ取って、きっと形にしてくれるに違いない。
北石堂の家
長野市
設計 | ヤマギシスタジオ |
敷地面積 | 197.10㎡ |
1階 | 97.71㎡ |
2階 | 87.78㎡ |
家族構成 | 母、世帯主、妻、子供2人 |
構造 | 木造 |
構造設計 | ヤマギシスタジオ |
設計期間 | 2015年7月〜2016年2月 |
工事期間 | 2016年4月〜2016年10月 |
施工 | 松代建設工業株式会社 |
ヤマギシスタジオ
スタッフを極最小限に抑え、プロジェクトの大きさによってパートナー会社と連携して業務を進める事により、コストを抑えながらデザイン性や技術力を最大限に発揮している