茶室とギャラリーを備えた
究極のゲストルーム
株式会社横山建築事務所
茶室を備えた2階和室を経て階下のギャラリーへ
空間にも動線にも、おもてなしの物語を。
周囲を山に囲まれた甲府盆地は、春にはあたり一面に桃の花が満開になる、まさに桃源郷。「嘉吉庵」と名付けられたこの建物は、美しい景観に溶け込むように佇む究極のゲストルームだ。
設計・監理を手掛けた〈株式会社横山建築事務所〉は、幅広いジャンルを守備範囲とし、拠点となる西宮エリアにおいてナンバーワンの実績を誇る。この「嘉吉庵」は、以前同社が設計した母屋に隣接する形で新築したもので、施主様は絵画や美術品のコレクター。母屋に入りきらなくなった所蔵品を保存するための蔵とその美術品をゲストにご覧いただくための広い展示空間、そしてゲストをもてなすための茶室・庭・広間を―という意向に沿って、屋久杉や古代桧など貴重な木材を使った母屋とのバランス、美術品の展示空間と茶室との繋がり、庭の配置などをキーワードに設計されている。
ゲストはまず門から路地を通って建屋の2階へと上がり、本格的な茶室へと案内される。この茶室と広間からは、苔の山などを大胆に配置した庭を望み、周囲の山々や四季折々の花木を眺めながら会席を楽しんだ後に、所蔵品が陳列される1階のギャラリーへ。あえて2階から1階へと至る動線によって、ギャラリーへの期待もより高まり楽しさもひとしおだ。
純和風の2階と打って変わって、白い壁に絵画が映えるギャラリーは、小さな美術館の趣がある。木造の2階に対して、耐火・耐震性を重視したRC造とし、美術品の展示・収蔵のための温湿度などの環境性にも十分に配慮。絵画の見え方に配慮したギャラリーの照明、凛として穏やかな和の空間をやわらかく演出する2階和室の間接照明も、究極のゲストルームを構成するうえで、大きな役割を果たしている。
「100人いれば100通りの住宅がある」という考えから、施主様の個性や価値観を大切にし、住み手にあった住空間を施主様と設計者の双方が互いに模索しながら答えを見つけていくこと。それが、同社代表・横山嘉夫氏の想いにある。納得のゆくまで対話を重ね、一緒に愉しみながら、ご自身だけの空間を創り上げていただきたい。
嘉吉庵
山梨県
| 設計 | 株式会社横山建築事務所 |
| 敷地面積 | 599.37㎡ |
| 1階 | 309.58㎡ |
| 2階 | 86.57㎡ |
| 家族構成 | 夫婦 |
| 構造 | 1階RC造2階木造 混構造2階建て |
| 構造設計 | 岩崎建築事務所 |
| 工事期間 | 2021年9月〜2023年7月 |
| 施工 | 株式会社飯塚工業 |
株式会社横山建築事務所
関西圏を中心に全国対応も可能。一般住宅、集合住宅をはじめ、店舗、ホテル、クリニック、オフィス等の公共施設や神社仏閣までを網羅。代表・横山嘉夫氏は、インテリアプランナーとしても評価が高く、空間をトータルに提案することが可能だ










