既成概念にとらわれない
施主様にとってオンリーワンの価値の家
建築家・川嶌守氏は、建築家の作品のための家ではなく、施主様のための家であることを念頭に線を引く。何故家を建てたいと思うのか、その家でこれからどんな暮らしを営んでいきたいのか、好きなこと、思い描く未来は?といった対話をじっくりと重ねることを大切に。
そうして竣工を迎えた家は、すみずみまでが施主様仕様のオンリーワン。同時に、一切の押し付けがなく、家族一人ひとりの日々の暮らしを懐深く受け止めてくれる。そこにあるのは、家族と一緒に自由な時を重ねていく住まいに他ならない。
設計する家のデザインテイストは、施主様の数だけあるといっても過言ではない。けれど、一点共通するのは、数十年先にも色あせることのない普遍性を帯びていること。それどころか、時間を経るほどに魅力が増していく建物であるということ。そして、周囲の景観さえも、より良いものへと変えていく力がある。
数ある施工例の中から、今回は、傾斜地と崖地に建つ2邸をご紹介。一般的に不利と言われる土地であっても、逆に土地の持ち味として魅力に変えてしまえることを示した設計事例だ。
メインの邸宅は、高低差4.5メートルの傾斜地に建っている。眺めの良い1階にDKがあり、そこから数段上がったスキップフロアにリビングを。傾斜に沿って箱を並べたように空間が繋がって、玄関からリビングまで視界が抜ける広々とした開放感あふれる空間が提案されている。
次の邸宅は、3.5メートルの崖地に建つ平屋。石を敷き詰めた崖の上に、白い建屋がまるで浮いているように見える。使い方自在な長細い内土間や利用用途を限定しないシンプルな空間で構成された簡潔なこの家は、実際の坪数以上の広がりを持つ豊かな家だ。
家を坪数や部屋数で語りたくない。この部屋はこうあるべき…といった既成概念はいらない。こんな方にこそおすすめしたい建築家事務所である。